タピオカの流行と同時に発生するお茶ブランド価値の同質化

タピオカブランドは、どこのブランドも共通して 産地・原料 を競合との差別化要因に含めているところがほとんどです。

日本で人気だったり、SNS言及数の多いタピオカブランドの多くは、タピオカが誕生した地である「台湾生まれ」や「台湾の原材料」を、そのブランドのエビデンスとしている状況にあります。

競合と比べてなにか突き抜けたほかと違う論拠・事実・スペックがあると戦いやすいものの、予想以上に「台湾」関連の産地型エビデンスが多く、日本国内ではエビデンスが同質化していますね。(独自製法もありますが、それも大きな差別化要因にはなりにくい)

ただ、どこのタピオカブランドも2000年代始め頃から事業をおこなっていた10年プレイヤーが多く、タピオカが強く拡がり始めたのもここ数年近辺の話だったと仮定すると、仕方ないのかもしれません。

エビデンスの被りすぎという意味では、直近のタピオカブームに乗ってきたようなタピオカ専門店に関しては、「京都生まれ」「東京生まれ」といった具合に産地の変換をして、切り口をかえてきているところもあります。

が、それでも生まれの看板を日本国内にしているだけで、実際の原材料は「タピオカ発祥の地、台湾から仕入れています!」といった落とし方で攻めています。

日本国内の現状に関して言えば、タピオカといえば隣の国からきたもの、台湾からきたもの、といった集合知のようなものが働いているので単純に「台湾生まれ」といった看板があるだけで「本格的そうな雰囲気」がでてきて、消費者の右脳に響くのかもしれません。

ただ、タピオカ市場は「明治ブルガリアヨーグルト」のように、明治以外がその産地のエビデンスを独占的に利用できるブランド戦略を実行できるわけじゃないので、台湾産攻めは長く続くブランドにするにはちょっと懸念がでてきます。

要するに、 これからのタピオカ業界では、各ブランドが何を武器(エビデンス)にして、どのようにして戦っていくのか という骨太の概念をどうするかが重要なわけです。

何を武器にして戦っていくのかという意味では、お茶ブランドの戦い方で上手な例は「artless craft tea & coffee」や、「東京茶寮」などは比較することができないストーリーや体験の創り方が綺麗です。

「artless craft tea & coffee」や、「東京茶寮」などは、材料を名誉ある場所から引っ張ってきている意味では台湾エビデンス攻めと同じですが、産地の解像度の上げ方が上手で、産地に愛着を持たせるような仕掛けが散りばめられているような雰囲気を感じます。

原料の生産背景をより深くコンテンツ化したり、生産者のインタビュー動画などを作成して、お茶の魅力を単なる美味しい飲み物ではなく、根本的な部分からお茶の世界観に浸る、体験できるような魅せ方をしています。

別の観点では、ROYAL BLUE TEAというお茶ブランドは、産地や独自製法のエビデンスを満たしつつ、お茶をワインボトルに入れることで高級ソフトドリンクに魅せています。つまり、高級ソフトドリンク市場を創造しているのです。

消費者が持つお茶イメージと真逆のポジションをとって、数千円から数十万円前後の単価でコアなファンを構築していたりするので、ビジネスモデル的にも非常に優秀です。

名入れサービスなども展開してギフト方面にも進出したことで「お茶を飲む」という今までの市場にとどまらず、「人にプレゼントをする」ときの行動セグメントでの市場にも進出しています。プレゼントをあげる側も恥ずかしくなく、もらう側もお茶の価値観が覆されて驚きと感動が生まれるわけです。

お茶業界のマーケティングの巧妙さはROYAL BLUE TEAが一番、おもしろいのではないでしょうか。

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